ハイブリッド配信に必要な機材|最小構成と、規模で増えるもの

「ハイブリッド配信をしたいのですが、機材は何をそろえればいいですか」

配信の相談で、最初に聞かれることの多い質問です。ただ、この質問に決まった一覧表では答えられません。同じハイブリッド配信でも、20人の報告会と、質疑応答のある100人のセミナーでは、必要な機材がまったく違うからです。

機材は、製品の性能から選ぶものではありません。イベントの規模と、オンライン参加者がどこまで参加するかから逆算して決めるものです。

この記事では、最小構成から出発して、どんな条件で何が増えていくのかを、私たちが実際の配信現場で使っている考え方のまま整理します。

機材は、参加のかたちから決まる

準備の記事でも触れたとおり、ハイブリッド配信の難易度は、オンライン参加者がどこまで参加するかで変わります。機材も同じです。

オンラインでの参加方法 機材に求められること
講演を視聴する 講師の声と資料を、聞きやすく一方向へ送る
文字で質問する 送る構成は視聴と同じ(質問の扱いは進行側の仕事)
声を出して発言する オンラインの声を会場に流し、エコーを抑える機材が加わる
講師が遠隔から登壇する 遠隔の映像と音声を、会場のスクリーンとスピーカーへ出す構成が要る

分かれ目は二つあります。一つは、オンラインの音を会場へ返すかどうか。視聴だけなら音は一方向で済みますが、発言が入った瞬間に、音声の構成は往復になります。もう一つは人数です。参加者が増えるほど映像の見やすさと音の安定が求められ、会議用の機材では足りなくなります。

最小構成は、ノートパソコン1台から成立する

会議室くらいの広さで、登壇者が1人、オンラインは視聴と文字の質問まで。この条件なら、機材は次の4点で成立します。

機材 役割
ノートパソコン ZoomやTeamsへの接続と、資料の画面共有
外付けWebカメラ 登壇者を映す(内蔵カメラより置き場所の自由が利く)
スピーカーフォン 登壇者の声の集音と、オンラインの声の会場への音出し
有線LAN 安定した接続

スピーカーフォンは、マイクとスピーカーとエコー処理が一体になった会議用の機器です。小さな部屋であれば、音声の往復をこれ1台に任せられます。

ただし、この構成には前提があります。部屋が広くなる、登壇者が複数になる、講師が歩きながら話す。どれか一つでも加わると、スピーカーフォンの集音範囲を超え、専用のマイクが必要になります。最小構成は「何でもできる構成」ではなく、条件がそろったときだけ成立する構成です。

カメラは、台数より「何を映すか」で決める

ハイブリッド配信で映すものは、おおよそ3つに分かれます。登壇者、資料、そして会場の様子です。

このうち資料は、カメラで撮りません。会場のスクリーンをカメラで撮ると、オンラインでは小さな文字が読めなくなります。資料は画面共有や映像入力で、配信へ直接送るのが基本です。

そうすると、カメラの1台目は登壇者に向けることになります。2台目を足すなら、会場全体の引きの画です。質疑応答で会場の質問者を映したり、休憩明けに会場の空気を伝えたりと、1台では撮れない場面を補えます。

カメラが2台以上になったら、映像を切り替える手段が必要です。スイッチャーと呼ばれる機器を使う方法と、パソコン上の配信ソフトで切り替える方法があります。あわせて、ビデオカメラの映像をパソコンへ取り込むには、HDMIキャプチャなどの変換機器が要ります。

カメラの台数は、画質のためではなく、進行のどの場面で何を見せたいかから決める。そう考えると、必要な台数は自然に決まります。

音声は、マイクの本数がそのまま機材を決める

映像より先に行き詰まりやすいのが音声です。

講師のマイク、司会のマイク、会場の質問用マイク。マイクが2本を超えたあたりから、音をまとめる音声ミキサーが必要になります。さらにその音をパソコンへ送るために、USBオーディオインターフェイスなどの機器を挟みます。

会場に音響設備(PA)がある場合は、マイクを持ち込むより、会場の音を配信側へ取り出せるかを先に確認します。講師の声はすでに会場のマイクで拾われているので、その音をもらうほうが確実です。

オンライン参加者の発言を会場へ返す構成では、戻した音がマイクに回り込み、エコーの原因になります。送る音と返す音を分けて設計する考え方は、準備の記事で書いたとおりです。機材の面では、ミキサーでの経路の分け方や、エコーキャンセル機能を持つ機器の利用を検討します。

ハイブリッド配信の機材選びで、最後まで悩むのは映像ではなく音声です。音声の経路が決まれば、機材リストの大半は決まります。

パソコンは、仕事ごとに分ける

配信が本格的になるほど、パソコンは1台に仕事を集めないほうが安全です。

パソコン 仕事
配信用 配信への接続と映像・音声の送出に専念する
資料用 スライドの表示と操作、動画の再生
確認用 視聴者と同じ画面を、別の回線で見る

資料の操作と配信を1台で兼ねると、スライド送りの操作ミスや通知の表示が、そのまま配信事故になります。また、確認用の端末がないと、オンライン側で音が消えていても、会場では誰も気づけません。

小規模な配信でも、配信用と確認用の2台は分けることをおすすめします。

回線は、有線LANを基本に、予備を持つ

来場者と同じ会場Wi-Fiで配信するのは避けます。開場後に接続が増えると、帯域が足りなくなるからです。

基本は有線LANです。使えない会場では、配信専用のモバイルルーターを用意します。その場合も、本番と同じ場所・同じ接続方法で事前にテストします。会場の奥まった部屋では、電波が想定より弱いことがあります。

また、回線は送るためだけのものではありません。遠隔登壇者の映像と音声を受け取るのも同じ回線です。双方向の配信ほど、回線の安定が効いてきます。本番用とは別に、切り替えられる予備回線があると、当日の安心感が変わります。

会場の設備が、持ち込む機材を減らす

ここまでの機材がすべて持ち込みになるかは、会場次第です。

音響設備から音を取り出せる会場なら、マイクとミキサーの持ち込みは減ります。プロジェクターとスクリーンが常設なら、遠隔登壇者を映す機材も省けます。有線LANが使えるなら、回線の手配も要りません。

だから機材リストを確定する前に、会場への確認を済ませます。既存設備で足りるもの、持ち込みが必要なもの、会場側の操作担当が必要なもの。この整理ができて、はじめて手配の数が決まります。

規模別に見る、構成の目安

ここまでの内容を、規模別にまとめます。

規模と参加のかたち 構成の目安
〜30人・視聴と文字質問まで ノートパソコン+Webカメラ+スピーカーフォン+有線LAN。配信担当1人
50〜100人・質疑応答あり カメラ2台と切り替え手段、ミキサーと会場音響の接続、パソコン2〜3台。配信と音響で2人以上
100人超・双方向や遠隔登壇あり 上記に加えて、音声の往復を分ける構成、予備回線、遠隔登壇の確認用端末。役割を分けた3人以上の体制

境目を決めるのは、人数そのものではありません。オンラインの声を会場に返すかどうかで、構成は一段変わります。人数は、その構成をどれだけ安定させるかの問題です。

機材リストの前に、構成図を描く

機材は、構成の結果です。

会場の音をどう取り出し、オンラインの音をどう返すのか。カメラと資料の映像は、どの経路で配信に乗るのか。接続を一枚の図に描いてみると、足りない機材と、持ち込みが重複している機材が見えてきます。買うのか、借りるのか、設備のある会場を選ぶのか。その判断は、図を描いたあとのほうが確実です。組んだ機材を本番でどう動かすかは、当日運営の記事にまとめています。

zigzagでは、会場の設備確認から機材構成の設計、手配、当日の設営・配信操作まで対応しています。

ご相談の際は、次の内容が分かる範囲でお知らせください。

  • 参加人数と、予定している会場。
  • オンライン参加者は視聴だけか、発言もあるか。
  • 会場の音響設備と、インターネット回線の有無。
  • 遠隔からの登壇者がいるか。

機材がまだ何もない状態からでも構いません。イベントの内容に合わせて、過不足のない構成から一緒に組み立てます。

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